人間の生活圏である都市に順応し、したたかに生き抜いてきた生き物を紹介する『都会の生き物』シリーズ。今回は、言葉をあやつる鳥として話題沸騰中の小鳥・シジュウカラをご紹介します。
日本人にとって身近なスズメ
シジュウカラは、スズメくらいの大きさで、体長はおよそ14cm。黒いネクタイのような胸の縦帯と、頭の黒・頬の白が目印です。基本的には、一年中同じ地域に暮らし、住宅地の庭木から里山の雑木林まで幅広く暮らします。
巣は樹洞や巣箱の“穴”を好み、コケや毛でふかふかに整えます。繁殖期にはオスがさえずりで縄張りを主張し、ペアで子育ても行います。
言葉をあやつるって本当?
シジュウカラの「ことば」については、鈴木俊貴さんが第一人者として研究を進めてきました。ここでは2つのポイントに絞ってご紹介しますので、ぜひ鈴木さんの御著書である『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館、2025年)をお手に取っていただければと思います。
- 音の並べ方(順序)に意味がある
シジュウカラは複数の短い音節を組み合わせて鳴きます。たとえば、捕食者への警戒を促す鳴き(仮にA・B・C)と、「こっちに来て」のような集合を促す呼びかけ(仮にD)があり、A-B-Cに続けてDと鳴くと、仲間は「危険があるから集まって対処しよう」と解釈して、周囲を見張りつつ集まる行動を見せます。 - 音の“成分”が役割分担している
A・B・Cそれぞれには警戒を高める効果、Dには招集の効果といった、機能の分担が観察されます。
鈴木さんの研究は、シジュウカラの「ことば」が人間の意味論や文法と同様な言語だと断言するものではありません。ただ、「音の種類」と「順序」に体系だった対応関係があり、聞き手がそれに一貫した行動で応じることを発見した点。それが鈴木さんの研究の面白さであり、動物のコミュニケーション研究における重要な成果だと思います。
『ソロモンの指輪』(ローレンツ)との見解の違い
動物行動学の古典、コンラート・ローレンツの『ソロモンの指輪』は、卓越した観察眼で動物の行動を描きました。ローレンツは、しぐさや鳴きを情動(興奮・恐れ・攻撃性など)と結びついた信号として語ります。いわば「心の状態を知らせる」合図だという認識がその中心です。
一方、鈴木さんが研究を通じて照らすのは、シジュウカラの鳴き声の種類と順序で、「事実やするべき行動を伝える」側面です。
もちろんローレンツの研究の価値が減るわけではありません。むしろ、精緻な自然観察という土台があったからこそ、再生実験や音声解析で「生きものが何をどう伝えているのか」を確かめられる時代が訪れたと見るべきでしょう。
これからの鈴木さんのシジュウカラ研究に注目です。
まとめ
今回は、シジュウカラの「ことば」について考えてみました。ぜひ本文中でご紹介した、鈴木さんの御著書をお手に取って、シジュウカラの世界をのぞいてみてください。
今後も当ブログでは、人間の生活圏である都市に順応し、したたかに生き抜いてきた生き物をを紹介していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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