動物園でライオンやトラのような「かっこいい肉食動物」に目を奪われる人は多いでしょう。
でも、自然界にはもうひとつ、とても大切な役割を担っている動物たちがいます。
それがスカベンジャー(scavenger)。
日本語では「腐肉食動物」とも呼ばれ、ほかの動物が食べ残した死骸を片づける“自然界の掃除屋”です。
ハイエナ、ハゲワシ、タスマニアデビル……。
スカベンジャーの歯は、なぜこんなに強い?
スカベンジャーの代表選手といえば、やはりハイエナでしょう。
ハイエナの口をよく見ると、奥歯(臼歯)がとても幅広く、がっしりしています。
これは、硬い骨を噛み砕くための特別仕様。普通の肉食動物は、奥歯をそれほど使わず、ある程度のサイズにかみちぎった肉を丸飲みにします。
ところが、ほかの肉食動物が食べ残した死骸でも、ハイエナにかかれば問題なし。
肉だけでなく、骨まで粉砕して栄養に変えてしまいます。
いわば「自然界のクラッシャー」。
この強力な臼歯のおかげで、ほかの動物が利用できない部分まで、きっちり回収できるのです。
骨の中のごちそう? ―― 骨髄を狙うスカベンジャー
スカベンジャーは、ただ骨を噛み砕いているわけではありません。
実は彼らの本当の狙いは、骨の中にある骨髄です。骨髄は脂肪分が多く、とても栄養価の高い部分。
ハイエナなどのスカベンジャーは、
前臼歯と臼歯を使って、骨に溝(ファーロー)を刻むような動きをします。
これは、ただ噛み砕くのではなく、
「割れやすいラインを作って、効率よく骨髄にたどり着く」ための工夫です。
「ちょっと怖い」けど、実はすごく大事な役割
死骸を食べる――と聞くと、
どうしても「不気味」「汚い」というイメージが先に立ちがちです。
でも、もしスカベンジャーがいなかったらどうなるでしょう?
・森や草原に死骸がいつまでも残る
・病原菌が増えやすくなる
・栄養が土に戻らない
・ほかの動物が生きていけなくなる
自然界は、あっという間にバランスを崩してしまいます。
スカベンジャーは、派手さはありませんが、いなくてはならない縁の下の力持ちなのです。
動物園でスカベンジャーを見るときの楽しみ方
動物園で観察するときは、ぜひこんなポイントに注目してみてください。
・奥歯(臼歯)の大きさや形
・あごの太さ、筋肉のつき方
・骨付き肉を食べるときの動き
「この歯で骨まで食べるんだな」
「自然界では死骸を片づけてるんだな」
そんな視点を持つだけで、
いつもの展示がちょっと違って見えてくるはずです。


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