「ベルクマンの法則」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、動物の体の大きさが気候とどのように関係しているのかを示す興味深い法則です。具体的な内容については、このページを読み進めれば、わかることでしょう。
実は、この法則が成り立つ動物もいれば、そうでない動物もいます。特に、爬虫類では「逆ベルクマンの法則」とも呼ばれる、まったく逆の現象が見られることがわかっています。今回は、ベルクマンの法則のしくみや具体例、そして爬虫類における「逆ベルクマンの法則」についてご紹介します!
ベルクマンの法則とは?
ベルクマンの法則(Bergmann’s Rule)は、1847年にドイツの生物学者カール・ベルクマン(Carl Bergmann)が提唱した法則です。
ベルクマンによると、恒温動物(哺乳類や鳥類)は、寒い地域に住むほど体が大きくなる傾向があるとされています。
なぜ寒い地域の動物は大きいの?
その理由は、体の表面積と体積の関係にあります。物体は、大きくなるほど体積に対する表面積の割合が小さくなるという特性を持っています。
- 寒冷地では、熱を逃がしにくい大きな体が有利
- 体が大きいと体積が増えて、体温を維持しやすくなる
- 暖かい地域では、熱を逃がしやすい小さな体が有利
- 体が小さいと表面積が広く、効率的に熱を発散できる
これにより、寒冷地では体が大きく、温暖な地域では体が小さい個体が生き残りやすくなるのです。
たとえば?
ベルクマンの法則は、多くの哺乳類や鳥類に当てはまることが知られています。
寒い北極圏に住むホッキョクグマは、比較的温暖な地域に住むツキノワグマよりもずっと大きな体を持っています。これは、寒さから身を守るために体が大きく進化した結果と考えられます。

他にも、シカ、サル、リス、猛禽類などのさまざま日本の動物があげられます。
このように、多くの恒温動物ではベルクマンの法則が見事に当てはまっているのです。
ベルクマンの法則の例外:爬虫類では逆になる?
ここまで見ると、「ベルクマンの法則はすべての動物に当てはまるのでは?」と思うかもしれません。しかし、変温動物(爬虫類や両生類)に関しては、むしろ逆のパターンが見られることが知られています。これを「逆ベルクマンの法則(Reverse Bergmann’s Rule)」と呼ぶこともあります。
2003年に発表されたアメリカの生物学者AshtonとFeldmanの研究では、さまざまな爬虫類の体の大きさと生息地の気温の関係を調査しました。その結果、驚くべきことに、爬虫類の多くは温暖な地域ほど体が大きくなることが分かったのです。
例えば、
- カメはベルクマンの法則に従い、寒い地域の方が体が大きくなる
- トカゲやヘビは逆ベルクマンの法則に従い、暖かい地域の方が体が大きくなる
という傾向が見つかりました。
爬虫類は変温動物であり、体温を環境温度に依存しています。つまり、気温が高いほど代謝が活発になり、成長速度が上がるのです。
- あたたかい地域では、成長に適した期間が長いため、大きくなりやすい
- 寒冷地では、活動できる期間が短いため、成長する時間が限られる
このため、特にトカゲやヘビなどの爬虫類では「逆ベルクマンの法則」が観察されるのです。
まとめ
動物園で時々耳にする「ベルクマンの法則」は、実は万能ではないということがわかってきました。
このように、生物の体の大きさと環境の関係を考えることは、動物の進化や生存戦略を理解するうえでとても興味深いテーマです。
次回、動物園や自然の中で動物を見るときは、「この動物の体の大きさはどんな環境で進化したのだろう?」と考えてみると、より楽しめるかもしれませんね!
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