生きものの語り部が読んだ本を紹介する「読書案内」シリーズ。今回紹介するのは、2016年に出版された、田向健一さんの『生き物と向き合う仕事』(筑摩書房)です。
著者紹介
田向健一さんは、1973年愛知県生まれ。幼少期から動物が大好きで、獣医になった方です。
現在は、田園調布にて田園調布動物病院を営んでおり、イヌやネコに限らず、さまざまな種類のペット動物を診察してきました。
その腕は一級品で、2020年には、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられました。
ペットとして飼育される動物への豊富な知識を活かして、フェレット、モルモット、チンチラ、ウサギなどの飼育書シリーズも出版しており、高い評価を受けている獣医さんです。
どんな人におすすめ?ポイントは?
結論から書くと、
- 動物に携わる仕事をする人
- ペットを飼育している人
におすすめします。「おすすめ」どころか、「読まねばならない」と言っても過言でありません。
ペットの獣医、そのなかでも町医者として開業している田向さんは、仕事だからこそ、命というものにまっすぐで正直です。
ペットを飼育している人であれば、誰もが次の文章を重く受け止めるでしょう。
助からないという悲しみや辛さに耐えること、目の前で消えてゆく命を最期まできちんと見届けるということが、命を飼うということだと、僕は思う。
田向(2016)186頁。
ここだけ引用すると、田向さんがとても冷たい人間に見えるかもしませんが、それは違います。
実際、引用した箇所の直後、田向さんは「悲嘆に暮れる飼い主さん」への対応の仕方も、これからの獣医の仕事だと示唆しています。
生き物の死というものにまっすぐ向き合うことは、獣医さんにとっては日々の仕事でありながら、飼い主にとってはその動物との暮らしの終焉を意味するものです。
この感覚の違いを、獣医の仕事をしたことのないわたしたちが理解することは、とくに難しいことです。この本を読んで、その違いを知ることで、ペットを獣医さんのところへ連れていくときの心の持ち方も変わってくるのではないでしょうか。
まとめ
今回の記事では、田向健一さんの『生き物と向き合う仕事』の【読書案内】をお届けしました。
今後も当ブログでは、生きものの語り部が読み、本を紹介していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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